［お偲び］ 中井久夫 氏（精神科医、神戸大学 名誉教授）

備考：葬儀は近親者で施行。
京都大医学部を卒業後、名古屋市立大助教授を経て、1980年に神戸大の教授になった。絵画療法を用い、統合失調症患者の回復状況を捉える診療法を開拓。95年の阪神大震災の際は精神科医同士の連携に奔走。被災者らの支援に尽力した。神戸の連続児童殺傷事件の被害者遺族と共に、犯罪被害者や家族を支援する「ひょうご被害者支援センター」の運営にも関わった。2004年には兵庫県こころのケアセンター長に就任し、被災者の心的外傷後ストレス障害（PTSD）への対応に当たった。鋭い人間洞察に基づく随筆や、ギリシャ文学の翻訳でも知られた。「中井久夫著作集」のほか、「徴候・記憶・外傷」「災害がほんとうに襲った時」など著作多数。ギリシャの詩人の全作品を翻訳した「カヴァフィス全詩集」で読売文学賞（研究・翻訳賞）、医師としての日常などをつづったエッセー集「家族の深淵」で毎日出版文化賞を受賞した。13年には文化功労者に選ばれた。