[お偲び] 中村吉右衛門 氏(歌舞伎俳優、人間国宝)

中村吉右衛門(なかむら・きちえもん)
命日: 2021年11月28日 18時43分
(東京都内の病院で)
年齢: 77歳
出身: 東京都
肩書: 歌舞伎俳優、人間国宝
備考:本名は波野辰次郎(なみの・たつじろう)。葬儀は近親者で施行。
1944年、初代松本白鸚(八代目幸四郎)の次男として東京で生まれ、のちに跡取りがいなかった母方の祖父の初代吉右衛門の養子になった。48年に中村萬之助(まんのすけ)を名乗り4歳で初舞台を踏んだ。66年に東京・帝国劇場で二代目吉右衛門を襲名した。「時代物」と呼ばれる歴史劇を中心に、役の心情を掘り下げた深みのある立役(たちやく=男性の役)として活躍した。養父と実父の芸を中心に古典歌舞伎を真摯に学び、大きな芸容と陰影に富む人物描写、卓越したせりふ回しに定評があった。「熊谷(くまがい)陣屋」の熊谷直実、「俊寛(しゅんかん)」の俊寛、「仮名手本忠臣蔵」の大星由良之助(おおぼしゆらのすけ)、「勧進帳」の弁慶、「寺子屋」の松王丸、「一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)」の大蔵卿、「河内(こうち)山(やま)」の河内山宗俊(そうしゅん)、「籠釣瓶(かごつるべ)」の佐野次郎左衛門など幅広い芸域で多くの当たり役を生んだ。先祖にちなんだ「松貫四」の筆名で「日向嶋景清」や「再桜遇清水」などの脚本も書き、名作の復活など研究にも熱心だった。近年は娘婿にあたる尾上菊之助やおいの松本幸四郎ら、後進育成にも力を入れていた。2006年から初代吉右衛門を顕彰する興行「秀山祭」を歌舞伎座などで続けたほか、初代が得意とした作品の復活上演にも力を注いだ。池波正太郎原作のテレビ時代劇「鬼平犯科帳」シリーズ(フジテレビ系)では過去に実父も演じた「鬼平」こと長谷川平蔵を4代目として主演。1989年から2016年まで28年間、150本続き、人情味あふれる火付盗賊改方の長谷川平蔵が人気となった。2020年、新型コロナウイルス感染拡大で歌舞伎の舞台に立てなくなると、能舞台で新作「須磨浦」を無観客上演してインターネットで配信、歌舞伎と能の間にある新しい舞台表現として話題になった。劇場公演再開後も舞台に立ち、21年3月の歌舞伎座公演では「楼門五三桐」で石川五右衛門を熱演、千秋楽の前日まで舞台に立っていた。02年から日本芸術院会員。07年毎日芸術賞、朝日舞台芸術賞。11年に人間国宝、17年に文化功労者に選ばれた。兄は二代目松本白鸚さん。十代目松本幸四郎さんは甥。尾上菊之助さんは四女瓔子さんの夫で義理の息子に当たる。
参照:
・ 中村吉右衛門さん死去 77歳、人間国宝の歌舞伎俳優
・ 歌舞伎俳優、人間国宝の中村吉右衛門さん死去、77歳 時代劇も人気
・ 中村吉右衛門さん死去、77歳 歌舞伎俳優、人間国宝―「鬼平犯科帳」で人気

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