[おくやみ]加賀乙彦 氏(作家、精神科医)93歳 2023年1月12日逝去

[お偲び] 加賀乙彦 氏(作家、精神科医)

加賀乙彦(かが・おとひこ)氏
命日: 2023年1月12日
年齢: 93歳
出身: 東京都
肩書: 作家、精神科医
備考:葬儀は近親者で済ませた。本名は小木貞孝(こぎ・さだたか)。
陸軍幼年学校在学中に敗戦を迎え、戦後、東京大医学部を卒業。精神科医に。志願して東京拘置所医務技官となり、死刑囚や無期懲役囚と面接した。1957年から3年間フランスに留学し、帰国後は東大助手、上智大教授などを務めた。64年、同人誌「犀(さい)」に参加し、創作活動を開始。67年に実体験を基に北フランスの精神科病院に勤める日本人留学生の日々を描いた「フランドルの冬」を刊行し、翌年、芸術選奨文部大臣新人賞を受賞した。死刑囚の心理を描き、信仰と人間の救済を見つめた「宣告」で日本文学大賞、陸軍幼年学校の少年たちが敗戦で自刃する悲劇「帰らざる夏」で谷崎潤一郎賞、自伝的な大河小説「永遠の都」で芸術選奨文部大臣賞、朝日新聞に連載した「湿原」で大佛次郎賞を受賞。日本文芸家協会理事や日本ペンクラブ副会長などを務め、文学界の振興にも力を注いだ。2000年に日本芸術院会員。05年に旭日中綬章、11年に文化功労者。戦争や脳死、死刑制度など社会問題にも発言。2006年にはオウム真理教の松本智津夫元死刑囚(麻原彰晃)に対する控訴審手続きで、弁護団の依頼で面会し「混迷状態で、裁判遂行は不可能」と述べ、訴訟能力はなく治療すべきだと指摘して注目された。トルストイ、ドストエフスキーに影響を受け、長編にこだわり、重厚な作品群を残した。
参照:
・ 加賀乙彦さん死去 作家・精神科医、代表作「宣告」
・ 作家の加賀乙彦さん死去 長編「宣告」「湿原」など 社会的発言も
・ 加賀乙彦さん死去、93歳 作家で精神科医―ベストセラー「宣告」

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