[お偲び] 根岸英一 氏(化学者、パデュー大学 特別教授)

根岸英一(ねぎし・えいいち)
命日: 2021年6月6日
(アメリカ合衆国インディアナ州インディアナポリスで)
年齢: 85歳
肩書: 化学者、パデュー大学 特別教授
備考:神奈川県立湘南高、東京大工学部を経て、1958年に総合化学メーカー「帝人」に入社。研究開発部門に配属された。専門知識の乏しさに危機感を抱き、60年にフルブライト奨学生として米国に留学。米ペンシルベニア大学で化学を学び直した。この時に聞いたパデュー大学のブラウン教授の研究にみせられ、いったん帝人に戻った後、米国で研究する道に転じた。米パデュー大博士研究員などを経て79年に同大教授。99年には特別教授になった。おもちゃのブロックを組み立てるように化学合成ができないかと考え続け、70年代に、2種類の有機化合物の炭素同士を結びつけて新しい物質をつくる「クロスカップリング」反応の研究で、パラジウムを使った触媒に、亜鉛やアルミニウムなどの化合物を使うことで合成できる物質を増やし、効率を上げた。「根岸カップリング」と呼ばれ、この成果をもとに、今では医薬品や農薬、液晶などの製造に応用されている。産業化しやすい形にさらに改良し、有機ホウ素化合物を使い合成する方法を開発した北海道大名誉教授の鈴木章さんらとともにノーベル化学賞を2010年に受賞した。ノーベル賞受賞後は人工光合成を目指す国の事業の助言役を務め、新しい反応方法の開発に意欲をみせていた。教育や研究のあり方についても、積極的に発言した。海外に積極的に出て見聞を広めることを若い人に説き、「学生に理解させるより、自分の趣味を優先するような授業はダメ」と語っていた。18年に米中西部イリノイ州で自動車事故を起こし、同乗していた妻すみれさんを亡くした。ノーベル賞のほか、96年度日本化学会賞、98年米国化学会有機金属化学賞、00年度英国化学会フランクランド賞、10年文化勲章に選ばれた。東京大総長顧問、帝人グループ名誉フェロー、ソニー非常勤特別研究顧問、科学技術振興機構総括研究主監なども歴任した。
参照:
・ 根岸英一さん死去 85歳、ノーベル化学賞
・ 根岸英一さん死去 85歳 2010年にノーベル化学賞
・ 根岸英一さん死去 有機合成でノーベル賞、85歳

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