［お偲び］ 中村紘子 氏（ピアニスト）

備考：本名は福田紘子（ふくだ・ひろこ）。
小澤征爾さんらを輩出した桐朋学園の前身「子供のための音楽教室」の１期生として、井口愛子に師事。全日本学生音楽コンクールの小・中学校両部を制して「天才少女」と呼ばれた。慶応中等部３年だった１９５９年、史上最年少の１５歳で現・日本音楽コンクールの１位・特賞に。翌６０年にはＮＨＫ交響楽団の初の世界ツアーに同行するという華々しいデビューを飾った。全額奨学生として米ジュリアード音楽院に留学しロジーナ・レビン氏に師事、６５年にはショパン国際ピアノコンクールで４位と最年少者賞を受けた。 以来、日本を代表するピアニストとして活躍し、チャイコフスキー国際コンクールやショパン国際ピアノコンクールなど数々の権威あるコンクールの審査員も務めた。また、９７年から約１２年間にわたって浜松国際ピアノコンクールの審査委員長を務めるなど若手ピアニストの発掘や育成にも尽力した。芥川賞作家の庄司さんと結婚し、経験をつづったエッセー集「チャイコフスキー・コンクール」で８９年の大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。その後もエッセー集「ピアニストという蛮族がいる」を出版するなど、文筆家としても名をはせた。 華やかな美貌とユーモアあふれる人柄で人気を博し、カレールーのＣＭなどにも長年出演。広く親しまれ、クラシック音楽界とお茶の間の距離を縮めた。２００８年に紫綬褒章を受章。 他、日本芸術院賞・恩賜賞など受賞多数。日本赤十字社などを通じたボランティア活動にも積極的に取り組んだ。