［お偲び］ 中村邦夫 氏（松下電器産業株式会社［現 パナソニック ホールディングス株式会社］元社長）

備考：葬儀は近親者で施行。
大阪大学経済学部を卒業し、1962年に松下電器産業に入社。アメリカの現地法人や、主力のテレビなど情報家電部門のトップを歴任し、2000年に6代目の社長に就いた。当時、松下電器は本業のもうけにあたる営業損益が3年連続で落ち込むなど、経営課題が山積していた。同社が「20世紀の成功体験から抜け出せない遅くて重い組織」だと考えて、「創業者（松下幸之助）の経営理念以外に聖域はない」として大規模な事業改革に取り組んだ。松下幸之助が1927年に自転車用の角型ランプに採用した「ナショナル」ブランドの廃止を主導。幸之助がつくりあげた製品ごとに独立採算で経営する事業部制もやめた。「家族的経営」と言われた社風に抗して1万人を超える希望退職者の募集などを断行した。松下電工（のちにパナソニックと合併）など主要5社を完全子会社化して経営の一体化を進め、重複を整理して合理化を図った。改革の費用がかさんだことなどから、02年3月期は4000億円を超える巨額の純損益赤字に沈んだが、その後の業績回復は「V字回復」と注目を浴びた。06年に会長に就任。12年6月に退任して相談役。07年5月から4年間、経団連副会長も務めた。日本銀行の参与も務めた。