［お偲び］ 久米是志 氏（本田技研工業株式会社 元社長）

備考：葬儀は近親者で施行。後日、お別れの会を開く。
静岡大工学部を卒業後、1954年にホンダに入社。創業者の本田宗一郎氏から直接指導を受けたエンジン開発者で、72年に発表された初代「シビック」に搭載された低公害の「CVCCエンジン」の開発を手がけ、世界で最も厳しいとされた米国の排ガス規制とされたマスキー法の基準を世界で初めてクリアした。四輪市場で最後発だったホンダが、大手メーカーに飛躍する足がかりをつくった。二輪、四輪、Ｆ１用などのエンジン開発を手掛け、創業者の本田宗一郎氏に、空冷から水冷エンジンへの転換を直談判して譲らなかったエピソードでも知られる。77年にホンダの研究開発子会社である本田技術研究所の社長に就いた。エアバッグやホンダ初のエンジン中置き（ミッドシップ）型のスポーツカーである「NSX」の開発を主導した。83年にホンダの3代目社長となった。日米貿易摩擦が顕在化する中、84年に米国オハイオ州の自動車工場の生産能力増強を発表したほか同国に研究所も設立。研究開発や生産の現地化を進め、ホンダの現在の米国事業の礎を築いき、グローバル展開を大きく進めた。欧米中への海外展開を進め販売台数を増やしつつ、ロボットや航空機の研究開発も開始。小型ジェット機「ホンダジェット」など、のちの商品開発につながった。85年に紫綬褒章を受章。