［お偲び］ 伊藤桂一 氏（作家、詩人）

備考：葬儀は近親者で施行。
4歳の時に父が事故で死に、幼時から人生の辛酸をなめた。旧制中学時代から同人誌などに小説と詩を投稿した。1938年に陸軍に入り、中国大陸を転戦した。後の創作活動の基底となる戦場体験を重ねた。戦後は出版社勤務などで生計を立てながら懸賞小説に応募した。過酷な戦場での小隊長と一兵士の友情をつづった「蛍の河」で62年に直木賞を受賞。84年には戦場の光景と心理を克明に描いた代表作「静かなノモンハン」で芸術選奨文部大臣賞と吉川英治文学賞を受けた。他の作品に「遥かなインパール」など。85年に紫綬褒章。2001年に日本芸術院会員。日本現代詩人会の会長も務めた。詩集は「定本　竹の思想」「連翹の帯」（地球賞）など。07年には老いの心境を豊かに歌い上げた「ある年の年頭の所感」で三好達治賞。