[おくやみ]別役実 氏(劇作家)82歳 2020年3月3日逝去

[お偲び] 別役実 氏(劇作家)

別役実(べつやく・みのる)氏
命日: 2020年3月3日 0時12分
(東京都杉並区の病院で)
年齢: 82歳
出身: 中国・新京(現 長春)
肩書: 劇作家
備考:葬儀は近親者で施行。後日、お別れの会を開く。
1958年に早稲田大学入学後、学生劇団「自由舞台」に入団、演出家の鈴木忠志氏らと「新劇団自由舞台」(後の早稲田小劇場)を旗揚げした。不条理劇の創始者とされるフランスの劇作家サミュエル・ベケットや作家フランツ・カフカの影響を受け、在学中に劇作を開始。広島の被爆者をモチーフに男の孤独と不安を描いたした「象」で注目された。「マッチ売りの少女」「赤い鳥の居る風景」で1968年に第13回岸田国士戯曲賞受賞。同年、同劇場を退団し、以後は日本語の不条理劇を手がける劇作家として旺盛な執筆を続け、文学座、演劇集団円、兵庫県立ピッコロ劇団などに戯曲を書き下ろした。時代を鋭く読み解き、電柱とベンチがあるだけの簡素な舞台で、名前をもたない人間たちが不思議な出会いをし、日常の不条理を浮かび上がらせる独特の作風で知られた。70年「街と飛行船」「不思議の国のアリス」で紀伊国屋演劇賞個人賞、童話をモチーフにした「ジョバンニの父への旅」で87年度芸術選奨文部大臣賞。70歳で発表した「やってきたゴドー」で2007年の紀伊国屋演劇賞個人賞と鶴屋南北戯曲賞を受け、息長く書き続けた。日本芸術院会員で、日本劇作家協会会長、兵庫県立ピッコロ劇団代表を歴任した。戯曲の代表作に、実際に起きた事件から着想した「木に花咲く」、「にしむくさむらい」、「諸国を遍歴する二人の騎士の物語」など。子ども向け作品や人形劇なども含め戯曲数は130本を超え、最も作品が上演される劇作家の一人と呼ばれた。残酷な童話や意表をつくエッセー、犯罪評論なども数多く発表した。2018年の「ああ、それなのに、それなのに」が最後の舞台となった。晩年はパーキンソン病と闘いながら劇作を続けた。
参照:
・ 別役実さん死去 不条理劇きりひらいた劇作家
・ 劇作家の別役実さん死去、82歳 不条理劇を確立
・ 別役実さん死去 劇作家、不条理劇の第一人者―82歳

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