備考:本名は、平良トミ子。
小学生のときに母と2人で石垣島に渡り、13歳から地元劇団で沖縄芝居の道に入った。戦後、1950年に沖縄本島に戻り、沖縄芝居の名脇役として人気役者となった。沖縄各地の露天劇場を回り、戦後の失意の人々を励ました。 「ウチナーグチ」を大事にする「沖縄芝居の第一人者」とされ、30代からおばぁ役を演じて老け役では右に出るものはないと評された。「ときわ座」など、いくつかの劇団を経た後、夫の進さんと劇団「綾船」を結成。99年には沖縄県指定の無形文化財「琉球歌劇」保持者に選ばれた。同年、中江裕司監督が沖縄を舞台に、二つの世代の愛を描いた映画「ナビィの恋」に出演し、知名度を沖縄の外へと広げた。2001年にはNHKの朝の連続テレビ小説「ちゅらさん」で国仲涼子さんが務めたヒロインの祖母役に。小柄ながら強い存在感を放ち、「おばぁ」の呼び名で全国的な人気を集めた。ほかに映画「マリリンに逢いたい」「ウンタマギルー」などに出演した。舞台では、第2次大戦下の沖縄の悲劇を伝える「洞窟」や、米軍基地問題などを取り上げた喜劇「めんそーれ沖縄」などに出演、積極的に沖縄の歴史を語り伝える役を担った。「リア王」を下敷きにしたアングラ劇風なテント芝居に挑戦したこともある。廃れゆく沖縄方言(ウチナーグチ)に危機感を持ち、言葉や芝居の塾を開いたり、八重山地方の昔語りを収めたCDを残したりし、文化を次世代に伝承することにも熱心だった。03年に沖縄県功労者。14年に旭日双光章を受章した。
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