［お偲び］ 河野多恵子 氏（作家）

備考：葬儀は近親者のみで執り行われる。本名は市川多恵子（いちかわ・たえこ）。
大阪府女子専門学校（現大阪府立大）卒。谷崎潤一郎や泉鏡花の文学世界に傾倒し、創作を始めた。戦後、上京して作家丹羽文雄さん主宰の同人誌「文学者」で小説を発表。勤めながら創作を続けた。昭和３７年に新潮社同人雑誌賞を受賞した「幼児狩り」で注目され、昭和３８年、「蟹」で芥川賞を受賞した。昭和５５年、特異な病気のために異性との交渉ができなくなった独身女性の日常を描いた「一年の牧歌」で谷崎潤一郎賞を受賞。平成３年には快楽死をテーマにした「みいら採り猟奇譚」で野間文芸賞を受賞した。ほかの代表作に「最後の時」「回転扉」「後日の話」「半所有者」など。評論に「谷崎文学と肯定の欲望」など。昭和６２年、大庭みな子さんとともに女性初の芥川賞選考委員となり、平成１９年まで務めた。辛口で鋭敏な批評で知られた。平成元年、日本芸術院会員。平成２６年に文化勲章を受章した。