[おくやみ]渡辺京二 氏(日本近代史家)92歳 2022年12月25日逝去

[お偲び] 渡辺京二 氏(日本近代史家)

渡辺京二(わたなべ・きょうじ)氏
命日: 2022年12月25日
(熊本県熊本市の自宅で)
年齢: 92歳
出身: 京都府京都市
肩書: 日本近代史家
葬儀: 2022年12月27日
会場: 真宗寺
熊本県熊本市東区健軍4丁目17−45
備考:中国・大連や、母親の郷里の熊本市などで育った。法政大学卒業後、書評紙の編集者を経て熊本に戻り、1965年に雑誌「熊本風土記」を発刊。当時、熊本県水俣市の主婦だった故石牟礼道子さんに執筆を依頼、小説「海と空のあいだに」(後に「苦海浄土」として出版)を受け取り、同誌に掲載した。半世紀にわたり原稿の編集や身の回りの世話などでサポートした。69年、石牟礼さんの要請に応えて「水俣病を告発する会」を仲間と立ち上げ、原因企業チッソとの補償交渉に臨んだ患者と家族らを支援した。その経験から、経済成長を追求して飽くことのない近代以降の社会を見つめ直す論考を重ねた。代表作「逝きし世の面影」(98年刊、99年度に和辻哲郎文化賞)では、幕末から明治初期に日本を訪れた外国人の手記を引きながら、人々が質素ながら満ち足りて暮らした江戸という文明が、近代化によって失われたことを描き出し、日本にとって「近代」とは何だったのかを問いかけ、現在の社会を相対化する視点を示した。79年度に「北一輝」で毎日出版文化賞。江戸幕府や先住民族アイヌ、ロシアによる交流史を描いた「黒船前夜」で、10年度に大佛(おさらぎ)次郎賞を受けた。18年度に「バテレンの世紀」で、読売文学賞評論・伝記賞。「文学的同志」として、石牟礼さんの執筆を半世紀以上にわたって支えた。石牟礼さんが18年に亡くなるまで、熊本市の療養先に毎日のように通い、口述筆記の手伝いや身の回りの世話をした。21年4月から、地元紙「熊本日日新聞」に幕末明治の人びとの心のあり方を描く連載「小さきものの近代」を持ち、亡くなるまで書き続けた。
参照:
・ 渡辺京二さんが死去 日本近代史家、「逝きし世の面影」
・ 思想史家の渡辺京二さん死去 92歳 代表作に「逝きし世の面影」
・ 渡辺京二さん死去 92歳、「逝きし世の面影」

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