顔を合わせて話すことを大切に「セレモニーサロン」(埼玉県川越市)

川越駅東口から徒歩2分の場所に「セレモニーサロン」の事務所はある。女性社長と男性社員2人で葬儀を切り盛りし、3人の女性従業員が裏方をサポートしている。顧客目線と低い価格設定で葬儀件数を伸ばしてきた。遺族と丁寧にコミュニケーションをとることで信頼を掴んでいる。現在、葬儀依頼の8割が以前葬儀をお手伝いした方からのご紹介という。葬儀を始めて13年。川越市では若い葬儀社。今回、セレモニーサロン株式会社代表取締役の清水真理氏に話を伺った。
外観(セレモニーサロン) 入口(セレモニーサロン)
外観 入口

花は生花店を厳選。返礼品は失敗から顧客目線に。

─── 葬儀を始められた経緯を教えてください。
「1995年に川越の葬儀社と提携し、アトレ1階で葬儀相談所を始めました。2000年に『川越市民聖苑やすらぎのさと』が開設されて、葬儀取扱店になれたことをきっかけに、本格的に葬儀を始めました。運送業を営む父は葬儀業界が好きで、その時に宮型霊柩車を5台購入したのですが、『やすらぎのさと』は宮型を禁止していると購入後に気付いて・・・。泣く泣く全て売却しました。最初の半年間は苦労の連続でした。依頼がほとんどなく、ポスティングを続ける日々でした。」
─── 花いっぱいの葬儀を打ち出されています。品質の良い生花を提供するために、どのような取り組みをしていますか。
「生花店を厳選しています。重視しているのは『鮮度』と『アレンジ』です。提携している生花店とは、入荷して3日以内の花を使用するよう約束しています。パサパサした花や古い菊、触ると落ちるような花を1回でも入れた業者とは取引しません。10社程を訪れて話をし、その内の2社と今は提携しています。」
施行例(セレモニーサロン) 返礼品例(セレモニーサロン)
「やすらぎのさと」での祭壇例
※「やすらぎのさと」は生花祭壇が制限される
返礼品例
─── 返礼品はホームページに商品例が出ています。モダンな商品も扱われていると感じました。返礼品への取り組みは、いかがですか。
「返礼品では苦い経験があって・・・。以前、返礼品で提供した海苔の品質が悪くて、投げ返されたことがあったんです。その時は参列者500人の大きな葬儀だったのですが、返礼品の料金は頂きませんでした。大赤字です。それが一つ勉強になり、自分や社員が見て良いと確認した商品をお勧めするようにしています。ブライダル業界の繋がりも活かし、都内を含め多くの業者と提携しています。ギフトにこだわる方にも対応できる体制作りに努めています。」
─── スタッフへの取り組みを教えてください。
「私と男性スタッフ1人が、『1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定・葬祭ディレクター技能審査)』を持っています。もう1人は今年受験予定です。スタッフの資質は、『優しいこと』『お客様の気持ちになれること』を重視しています。後は努力で補えます。スタッフに理解して欲しいことは、繰り返し何度も言っています。」

葬儀依頼の8割がご紹介から。終活関連の活動も精力的に。

─── 葬儀を発注する時は、どのような流れですか。
「葬儀の発注は電話が多いです。また、8割の方が以前葬儀をお手伝いした方からのご紹介です。亡くなられてから葬儀の相談があるのではなく、亡くなられる前に、事前見積りをして葬儀をする流れが増えてきました。新規のご依頼が減ったので、受注時に慌ただしく打ち合わせをすることも少なくなりました。」
─── 8割がご紹介での葬儀なのですね。
「一つ一つの葬儀で手を抜かないことに尽きます。それがお客様の満足に繋がる。すると紹介してくれたお客様にも御礼がいく。お願いして良かったと思っていただいたお客様が、また紹介をしてくださる。そういうことだと思います。」
─── アンケートなどは取られていますか。
「アンケートは取っていないのですが、葬儀後に私が喪主様と紹介者様のご自宅に伺って話を聞くようにしています。良かった点、悪かった点、それらを持ち帰ってスタッフと反省会。以前は紙でアンケートを取っていましたが、直接伺って聞いた話の方がその後の施行に活かされていると感じます。」
─── 今、力を入れていることはありますか。
「5,6年前から『見守り隊』という一人暮らしのご老人の有料見守りサービスを始めました。女性が多いですが、月1回の訪問サービスやお食事会の開催で、孤立しない環境作りを支援しています。また、同時期に『終活セミナー』も始めました。相続等をテーマに話しています。2月19日(2014年)には川越市協働事業として成年後見講座を行います。葬儀だけではない、社会貢献も行いたいと考えています。」
広告(セレモニーサロン) エンディングノート(セレモニーサロン)
終活の広告・チラシ エンディングノート
─── エンディングノートを執筆されていますね。
「2009年に出版しました。主人が編集者をしていて、その繋がりで出版社の方からお声が掛かりました。葬儀を中心に幅広い情報を載せたかったので、関係者のインタビューや葬儀の知識、解説も書いています。エンディングノートらしく記入箇所も多くありますが、最低限『親戚や友人等の連絡先』『葬儀の希望』『遺影写真』があればという話はよくします。」
─── 遺影写真で困る方は多いですか。
「多いですね。免許証を持ってこられる方もいますし、老人ホームの職員が誕生日に撮った写真を持ってくる方も多い。普通紙にプリントされたもので画像がぼけていると遺影写真にならないですよね。女性の方は特に、遺影写真を準備しておくと良いかもしれません。」

『火葬式』が増加傾向。その内容は様々。

─── 近年の葬儀の傾向は、いかがですか。
「最近は『火葬式』(一般的な葬儀をせずに火葬すること。直葬とも。)が増えてきました。弊社では施行の3割が火葬式です。ただ、火葬式と言っても内容は様々。生前に家族と話し合って、遺言まで残して、故人が希望する葬儀の形として火葬式を選択する人もいます。葬儀はしないけれども、自宅で親類縁者の方と十分にお別れの時間を取って、火葬をする人も居ます。一方で、火葬に立ち会うこともなく、収骨や納骨まで弊社に代行をお願いする人もいます。」
─── 火葬式にも色々な形がある。
「弊社は自治体の福祉葬も請け負っていますが、金額の安さで火葬式を否定することはありません。それでも、特に若い方に多いですが、安易に火葬式を選択しないで欲しい。親戚の方とも十分に話し合って欲しい。火葬式の問題は、お別れの時間の短さにあります。特に都内では、火葬場の霊安室に入ると面会が制限されます。面会できる火葬場でも、その度に人が付かなければなりません。結果としてお別れの時間は10分~15分程度になるのが実情です。面会が多いのであれば、火葬式を希望する方にもご葬儀を勧める必要があると考えています。また実際に火葬式を遺族や親戚の間に入って調整していると、色々な要望がでて、まとめるのが複雑です。納得いくお別れができるよう決めていただきたいと思いますし、そのためのサポートも致します。」
─── ありがとうございました。(2014年1月28日 取材)
取材葬儀社情報・ご連絡先
会社名(会館名): セレモニーサロン株式会社
住所: 〒350-0046 埼玉県川越市菅原町19-1 伊勢原六番館306号
電話番号: 0120-75-9090
ホームページ: https://www.hananona.com/