[おくやみ]作田啓一 氏(社会学者、京都大学 名誉教授)94歳 2016年3月15日逝去

[お偲び] 作田啓一 氏(社会学者、京都大学 名誉教授)

作田啓一(さくた・けいいち)氏
命日: 2016年3月15日 3時31分
(京都府京都市中京区の病院で)
年齢: 94歳
出身: 山口県山口市
肩書: 社会学者、京都大学 名誉教授
備考:葬儀は故人の遺志で執り行われない。
京都帝国大文学部哲学科を卒業後、西京大(現・京都府立大)助教授などを経て、1959年に京大助教授となり、66~85年に教授を務めた。デュルケムやパーソンズらの研究をもとに理論社会学や文化社会学の研究を進めた。哲学や文学の領域から日本文化、大衆意識への考察も進め、現代日本の社会学に影響を与えた。1967年発表の「恥の文化再考」では、日本人の「恥」の意識は人の目を気にしてのものではなく、弱さの自覚から生まれる「羞恥」とし、地域共同体など社会構造から捉え直した。69年の京大紛争でエスカレートする暴力に抗議し、「無力な私は、私自身を苦しめるほかはない」と、2月の厳冬期にハンストを決行。紛争での体験は後に、ドストエフスキーの描く人間像を通し、組織と個人の内面の対立や暴力への思索へ深まった。「価値の社会学」(72年)は、言語にならない深い経験に根差した価値観や共感など非合理的なものに、人間の行動や感情の深層を探り、現代日本社会学に影響を与えた。京大退職後は甲南女子大教授を務めた。近年は、文学や哲学、精神分析を総合しつつ、社会学を論じた。著作は他に「個人主義の運命」「ドストエフスキーの世界」など。自らのホームページで「激高老人」と称して時事コラムを連載していた。元日本社会学会会長。京都府文化賞特別功労賞受賞。
参照:
・ 作田啓一氏が死去 京都大名誉教授
・ 社会学者の作田啓一さん死去 著作に「恥の文化再考」
・ 社会学者の作田啓一氏死去 京大名誉教授「恥の文化再考」

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