［お偲び］ 宮尾登美子 氏（作家）

備考：葬儀は近親者のみで執り行われた。
高坂高女卒。代用教員を経て、結婚後満州に渡るが、敗戦を受け帰国。保育士などをしながら文学を志し、１９６２年に「連」で女流新人賞を受賞。７３年には、雑誌編集者をしながら、幼少期から劣等感を抱いていた芸妓娼妓紹介業の生家をモデルにした「櫂」で太宰治賞を受賞した。「春燈」「朱夏」「仁淀川」と、自伝的小説を書き継いだ。７９年、幕末から昭和まで土佐伝来の琴に託し、芸の道を究める女たちを描いた「一絃の琴」で直木賞を受賞。逆境の中でたくましく生きる女性、歴史や運命にもてあそばれる人間の姿を見詰め、８３年には、女性初の文化勲章受章者の日本画家・上村松園を描いた「序の舞」で吉川英治文学賞を受賞した。女性の感性で捉えた歴史小説「天璋院篤姫」「東福門院和子の涙」なども著した。「鬼龍院花子の生涯」「蔵」「陽暉楼」は映画化されてヒット。「宮尾本　平家物語」と「天璋院篤姫」は０５年と０８年のＮＨＫ大河ドラマになった。９８年に勲四等宝冠章、２００８年に菊池寛賞、０９年文化功労者、１０年には、歴史もの以外では初めて男性を主人公にした「錦」で親鸞賞を受賞した。