[おくやみ]安野光雅 氏(画家)94歳 2020年12月24日逝去

[お偲び] 安野光雅 氏(画家)

安野光雅(あんの・みつまさ)氏
命日: 2020年12月24日 8時20分
年齢: 94歳
出身: 島根県
肩書: 画家
備考:葬儀は近親者で施行。
画家になることを夢見ていたが、復員後に山口で代用教員に。50年の上京後も、小学校の美術教員を続けながら絵を描いた。絵に専念するようになっていた68年、教え子の縁で最初の絵本「ふしぎなえ」を発表。エッシャーのだまし絵や心理学の図案に影響を受けて描いたトリック絵本は評判となった。69年に想像力を刺激する「さかさま」、74年にはアルファベットの文字の形が不思議な図を描く「ABCの本」を出版した。好奇心と想像力を刺激する独創的な作品は国内外で高く評価され、芸術選奨文部大臣新人賞やブルックリン美術館賞など内外の賞を多数受け、80年にボローニャ国際児童図書展グラフィック大賞、84年には絵本画家としての全業績に対して「児童文学のノーベル賞」といわれる国際アンデルセン賞画家賞を贈られた。88年に紫綬褒章、2008年に菊池寛賞、12年には文化功労者に選ばれた。ペンと水彩でヨーロッパやアメリカ、中国、日本など世界各地を舞台に繊細な筆遣いで旅の楽しさを描き、77年から「旅の絵本」シリーズを計9冊出版。古典を題材にした「繪本 平家物語」も描いた。91年からは故司馬遼太郎さんが週刊朝日に連載していた「街道をゆく」の挿絵を担当。司馬さんが亡くなる96年まで続けた。07年から08年に「繪本 三国志夜話」を連載した。上皇后美智子さまとも親交があり、皇居の草花を描いたことでも知られる。このほか、膨大な数の装丁、絵本を手がけ、エッセーの名手としても知られた。科学・数学・文学など幅広い分野に造詣が深く、森鴎外訳「即興詩人」の口語訳やユーモラスなエッセーなど多岐にわたる文筆活動でも多くの世代に支持された。01年には、故郷に作品や資料を集めた津和野町立「安野光雅美術館」が開館し、17年には京都府京丹後市に「森の中の家 安野光雅館」がオープンした。
参照:
・ 安野光雅さん死去 画家「ふしぎなえ」
・ 画家の安野光雅さん死去 「ふしぎなえ」「旅の絵本」
・ 安野光雅さん死去 画家、「ABCの本」―94歳

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